福岡から東京に異動してからは、仕事のスピード感が変わったと感じています。地方都市は支社が多いので、商談や交渉においても、本社に確認する手間があり、一週間ほどタイムラグが生じることが多くありました。東京は大手企業の本社が集中しているので、社内合意を取り付けるスピードが速く、効率的にビジネスを進められます。新たな挑戦がしやすい環境で、仕事がますます面白くなっています。
東京は、地下鉄やバスなどの交通網が網の目のように張り巡らされているので、移動もスムーズで便利です。管理職になってから、関東近隣や全国で展開する店舗に出張することも増えたので、台東区上野にある本社から空港や主要ターミナル駅にすぐにアクセスできるのはとてもいいですね。

職場のある台東区は、東京の中でもレトロな街並みが多く、古くから続く老舗店が多いエリアです。コロナ禍で外食する機会は減りましたが、そば、お寿司、天ぷらなど日本料理店が充実していて、ランチタイムはいつも充実していました。
最近、職場近くに引っ越したので、休日は、浅草を散歩することが多いですね。浅草寺前の仲見世通りには、伝統的な手工芸品や屋台がたくさんあります。愛粧堂では、舞妓マスクやサクラシリーズの基礎化粧品など「和」を取り入れた商品の人気が高いので、和小物のデザインや和スイーツのトレンドもチェックし、マーケティングの参考にしています。

福岡時代から、担当する店舗はつねに売上ナンバーワンに育ててきました。販売の仕事で一番大切なのは、人材育成です。商品知識、話し方、お客様への気遣いなど、自分のもつスキルをすべて教えてきました。販売の仕事の楽しさは、接客や勉強を通じて自分に自信がつくことです。その楽しさをスタッフにも伝えるよう心がけてきました。販売人事マネージャーになってからは、観光のハイシーズンに絡めた販売促進キャンペーン企画も数多く提案してきました。社長もチャレンジ精神旺盛なので、ほとんどの企画を実行に移し、売上アップに貢献することができました。
販売の仕事をする以上は、取扱商品に絶対の自信をもっていることも大切です。愛粧堂の化粧品や健康食品はすべてMADE IN JAPAN で、原材料や製造工程にこだわったものを扱っています。私自身も愛用していますし、家族にも薦めています。中国人をはじめ、外国人観光客の方のMADE IN JAPAN に寄せる信頼は厚く、当社の商品はリピーターがとても多いのが特徴です。福岡の免税店時代には、多い日で4,000 人もの中国人観光客が訪れていましたが、その接客を20 人の販売員で担当していました。中国人観光客は質問や要望が多いのですが、お客様に合うものをご紹介してきた成果がリピート率に表れていると思います。私は人とコミュニケーションをとるのが好きなので、忙しくても楽しかったですね。お客様に美しくなって喜んでもらいたいという思いで、日々必死に取り組んできました。

昨年、営業部長に就任して、店舗開発などを多く手がけていく予定でしたが、コロナ禍で外国人観光客の数が激減したため、現在は中国のIT 企業と連携して、中国市場に向けたEC サイトの強化に力を入れています。日本で当社商品を購入してファンになってくださっているお客様の高評価コメントが呼び水となって、中国本土でも知名度が高いブランドに成長しています。日本製への信頼と人気は中国にかぎらず、世界共通です。EC サイトの充実を図り、愛粧堂を世界ブランドに成長させていければと考えています。
販売の現場では観光客相手が中心でしたが、管理職となってからは日本人のマネージャーやビジネスマンを相手に交渉やプレゼンテーションをする場面が増え、最初の１年間は大変でした。日本独特のビジネスマナーがわからない、言葉が出てこないなど、失敗や反省はたびたびありました。そのたびに、社長や同僚に助けられて、自分でも必死に勉強しながら乗り越えてきました。あの大変な１年間があったからこそ、成長した今の自分がいると感謝しています。
東京で働く夢を実現するにあたっては、自分の可能性に限界をつくらないことが大切です。最初からすべてうまくいくのは難しいかもしれませんが、学びつづける姿勢さえあれば、かならず成功にたどりつくことは、私自身が日本での仕事経験から学んだことです。一度しかない人生、考えて立ち止まっている時間はありません。自分の可能性を信じて、一歩ずつ前進していきましょう。